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囚われの鳥

ある所に、とても傷ついた鳥がいた。

羽は痛み、力も衰え、倒れそうになっていたその時、その鳥は籠を見つけた。

籠の中には一匹の鳥が居た。

そして、傷ついた鳥を優しく介抱してくれた。

今まで傷つきながら頑張っていた鳥は、その中で安らぎを感じ、癒されて行った。

籠の中に居た鳥も、癒されて行った。

今まで、籠の中で、孤独を感じ、寂しさを抱えていた自分に仲間が出来た。そして自分がその仲間の役に立てて居ることを嬉しく感じた。

傷が大分癒えて来た鳥は、再び外の世界へ飛び出す様になって行った。

そして、外の世界で珍しいもの、面白いものを見つけては、籠の中に帰って来て、籠の中の鳥に渡して行った。

今までは、自分の為だけに、外の世界で戦ったり、争ったり、好奇心を満たしたりしてきた鳥にとって、誰かの為に、外の世界を飛び回るのは、新鮮で楽しい事だった。特に、傷ついて何も出来なかった自分を優しく、労ってくれた鳥に対しての恩返しの意味、今度は自分が貢献出来る意味も含め、喜びの気持ちが湧いて来ていた。

籠の中の鳥も、最初はとても嬉しかった。
傷が癒え、元気になった鳥の姿を見て。そしてその鳥が本来の力を取り戻して、自由に飛び回り、自分に色々良くしてくれることに。

しかし次第に寂しさや孤独を感じる様になって行った。

自分だけで籠の中に閉じこもっていた日々の記憶が蘇って来た。

そして、傷ついていた鳥が籠から飛び立って行くたびに、自分の出来ることは、もう何も無いのかもしれない。もう帰ってこないのではないか?

そんな寂しさを募らせて行った。

そんな元気を無くした籠の中の鳥を見て、傷ついていた鳥も、色々悩みだした。

何がいけないのだろう?何が問題なのだろう?

自分が帰って来ても最近では喜んでもくれない。自分が持って帰って来るものに不満があるのだろうか?自分の冒険や旅の話がありきたりになって来ているのだろうか?

そんなことを感じつつ、外の世界で暮らす時間や、無理をする事が増えて行った。

その結果として、次第に危険を冒し始めた鳥は、色々怪我をするようになって行った。

そんな怪我をした鳥に対して、寂しさが募った籠の中の鳥は、昔の様な、優しい振る舞いというよりは、傷を癒そうとする自分が役立てることや、一緒にいる素晴らしさを認めて欲しいという気持ちが強くなっていた。

再び傷を負う様になった鳥も、昔の感じた安らぎよりも、誰のせいでこんな目にあっているのか、何故自分に感謝してくれないのか?
そんな思いが高まって行った。

ある日、傷が癒えないまま、外を飛んでいた鳥は、初めて鷲に襲われた。外の世界では、比較的、自由や強さを感じていた鳥は、初めて出会う、自分よりも数倍の大きさを持つ、その鳥の力に、何も太刀打ちが出来ず、今までに無い大怪我と、自分は無力である絶望感から心の傷を負って、命からがら、鳥籠に帰って来た。

変わり果てた鳥の姿を見て、籠の中の鳥も、我を忘れて、必死に看病をした。

やれること全てを、その鳥に捧げて尽くして行った。

しかし、絶望に打ち拉がれ、再び飛ぶ事を恐れるその姿を見て、籠の中の鳥は怖くなり、逃げ出してしまった。

絶望の中、意識が遠のいて行く中で、傷ついた鳥は思い出していた。

何故、籠の鳥と出会う前に、あれ程の無理をして、空を飛び回って居たかを。

別の籠の中の鳥たちに馴染めず、追い出される様に、逃げ出す様に飛び立って行ったあの日を。

籠から逃げ出した鳥も思い出していた。

自由に飛び回ろうとしていたあの日を
そして、外の世界に絶望して、籠の中に閉じこもるのを決めたあの日を。

数年後、ある鳥籠に傷ついた鳥がやって来た。

二匹はお互い、何をすれば良いかよく分かっていた。

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投稿者プロフィール

Ryu
Ryu
ストーリーアーティスト

目の前の出来事や兆し、流れ、作品、風景から感じたエネルギーを、詩や物語、寓話として、文字や言葉として表現している。

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