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朽ちない塔

ある町に、塔を積み上げる男がいた。

ある日突然、塔を積み上げはじめたその男の行動を不思議に思った友人は、何故そんなことをするのか?と男に聞いてみた。

すると、男は、ある賢者に、幸せになる方法を聞きに言ったところ、お前は、お前の存在を誇示するための塔を積み上げる事が必要だ!という、アドバイスを貰ったそうで、それに従って、塔を積み上げはじめたということだった。

最初は、ある程度の高さまで積み上がった塔を、物珍しく見ていた町の人々であったが、それ以上積み上げることが難しくなったのか、ある時、塔の建設が止まってしまい、その塔を気にとめる人は殆どいなくなっていた。

男も、色々な葛藤を抱えていた。塔を積み上げたからと言って何になるのだろう?意味が無いのではないか?賢者に騙されているのではないか? しかし信頼した賢者のアドバイスだ、何故俺は人を信頼出来ないのか?何かをやり遂げることが出来ないのか?

様々な思いを感じていた。

色々悩んだ末、自分を信頼してくれた賢者との約束は果たそう。自分も賢者を信頼して、やりきって見よう!

そんな思いとともに、塔を積み上げることを再開した。

積み上げる為に、様々な工夫をしたり、色々な人の教えを請いたりした。

いつしか、塔は、町一番の高い建物となって居て、その町の名所となるとともに、遠方から、その町を訪れる人の大切な目印となり、色々な人に喜ばれた。

その塔を建てたことで、有名になったその男は、町のみんなに信頼され、町の名士となり、幸せになって行った。

そんな男と賢者の約束は、町の話題となり、こぞって、塔を建てる者が、その町に現れた。

しばらく経つと、町は塔であふれかえり、その男が建てた以上の高さの塔も、現れはじめ、町一番の塔を建てた男の称号は、その男のものではなくなって行った。

しかし、その時、既に、男は幸せになる方法、賢者が本当に伝えたかった事を理解していた。本当の塔を何処に建てるかという事も。

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投稿者プロフィール

Ryu
Ryu
ストーリーアーティスト

目の前の出来事や兆し、流れ、作品、風景から感じたエネルギーを、詩や物語、寓話として、文字や言葉として表現している。

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