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不思議な霧の世界

その山の奥には、願いが叶う、不思議な霧の世界があると伝えられていた。

言い伝えによると、二人の人間がその霧の世界の中で、同じ願いを思うとそれが実際に現れるという。

ある日、村の、仲の良い二人の男女が、その言い伝えを確かめて来ると友人に伝え、村をあとにした。

道中、願いが叶うのであれば、こんなことをお願いしたい、あんなことも叶えてみたい

仲の良い、自分達であれば、同じ願いを思うことが出来る、きっと、願いを実現出来るはずだ!

そんな感じで浮かれている女とは対照的に、男は実際のところは半信半疑であった。

そんな思いを感じながら、山を登って行くと、次第に霧が立ち込めてきて、気がつくとあたりが真っ白になっていた。

女は、これはまさしく、言い伝えの霧であろう、きっと言い伝えは本当なのだ!と感じていた。

男は、これは本当に言い伝えの霧なのか?言い伝えは本当なのだろうか?そんなことを感じていた。

女は、男に伝えた、今こそ私達の願いを思う時だと。

先ずは金貨を100枚。それが欲しいということを、願ってみましょうと。

けれど金貨は現れない。

男は、そこで、言い伝えはやっぱり嘘であったのだと言う思いを強めた。

女は、自分が強く願っているのに、金貨が現れないので、きっと男が金貨100枚を願っていないのではないか?と疑いだした。

女はそのことを男に伝えた。私はこんなに強く思っている、現れないのは、あなたの思いが足りないのではないか? 金貨を100枚手に入れたいと思っていないのではないか?と男を責めた。

男は、自分もちゃんと願ったことを伝え、現れないのは、伝説が嘘であったのだろうと女に伝えた。

女はそんなはずはないと、男の主張には取り合わず、何故金貨を100枚欲しくないのか?私と一緒に金貨を手に入れて、幸せな生活を送ることが不満なのか?と更に男を責めた。

男も、俺のいう事を信じられないのか!お前の様な、人を信じない人間が幸せになれるものか!と女を責めた。

女は、それ見たことか、それがあなたの本心だったのねと、そんな思いやりのないあなたが幸せになれるわけがない!とやり返した

なんてやつだ、お前なんか地獄に落ちれば良い!男が罵った。

あなたこそ地獄に落ちれば良い!女もやり返した。

その瞬間、大地に大きな穴が空いて、二人を飲み込んで行った。

後日、何日経っても帰ってこない二人を心配した、友人の男女が、二人を探しに山に登って行った。

すると、段々霧が濃くなってきて、次第にあたりは真っ白になって行った。

男は、これは本当に言い伝えの霧なのか?本当に願いが叶うのか?そんなことを感じていた。

女は、これは言い伝えの霧に違いない。言い伝えは本当だったのだと感じていた。

女は、帰ってこない二人に会いたいと言う思いをここで願って見ようと男に提案した。

同意した男とともに、二人は、帰ってこない二人に会いたいと言う願いを思ってみた。

しかし、何の変化も起こらなかった。

男は、言い伝えは間違いだったという思いを強めた。

女は、何かが間違っているに違いないと感じていた。

女は、優しく、そのことを男に伝えた。

言い伝えに間違いはないと私は感じている。
そして、私達が帰ってこない二人に会いたいと思っている気持ちにも間違いはないと感じている。

もしかしたら、何がが間違っているのかもしれないと私は感じるけれどあなたはどう思うか? 素直な気持ちで男に聞いてみた。

そんな女の落ち着いた話し方に、なるほどと感じつつ、もし何か間違いがあるとしたら、何であるか。男も真剣に考えてみた。

すると、自分は、言い伝えは本当なのか?本当に願いは叶うのか?という部分に、疑問を持っていることに思いあたった。

男は、もしかしたら、自分のそんな疑いの気持ちが、君との思いの一致を妨げていたのかもしれない。二人に会いたい気持ちは自分も間違いないが、そんな疑いの思いが、自分達の願いを妨げていたのかもと、男も素直に女に伝えてみた。

女はそんな男の気持ちを尊重しつつ、もしかしたら、私も実は、そんな思い、疑いの思いがあったかも知れないと男に伝え

こんどは、伝説が真実であろうと無かろうと、関係なく、ただ、純粋な思いで、二人に再会したい気持ち、その思いで祈って見ようと、男に提案をした。

二人が、そんな純粋な思いで、心を込めて祈ると、次第に霧が晴れ始め、坂の上の方に、久しぶりに見る友人達の姿が現れて来た。

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投稿者プロフィール

Ryu
Ryu
ストーリーアーティスト

目の前の出来事や兆し、流れ、作品、風景から感じたエネルギーを、詩や物語、寓話として、文字や言葉として表現している。

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